カメラ日和ブログ

一眼レフでパンフォーカスを得るための方法

'17年03月12日

写真

たまには真面目に撮影手法の話でもしようかと思います。

先日、知人から「旅行の記念撮影で人物も背景もボケないように撮るにはどんな設定にしたらいいの?」と質問をされました。その知人が使っているのはAPS-Cの一眼レフとキットのズームレンズでした。そりゃ大抵のシチュエーションで背景がぼけるよね。その話の中でこんなことも言ってました。「風景写真をパンフォーカスで撮るには、ピントを無限遠にあわせればいいんでしょ?」
ん〜〜、合ってるとも言えないけど、全然違うとも言えないかなぁ。なんとなく、それでも普通に撮れるから。
ただ、勘違いして欲しくないのは、「絞ればいい」って思っていること。
絞らなきゃならない場合もあるけど、絞らなくてもいい場合もあるし、絞ったってダメな場合もある。
だから、使う使わないは別にしても、ちゃんと理論を知った上で撮影してもらいたいと思う。
一つ失敗した例を出して、こういうときはどうしたらいいのか説明します。



まだ何も考えずに撮影していた頃の写真です。
この写真を撮ったときは、町並みのディテールをちゃんと写したかったのでなるべくボケないように撮りたかったんだけど、手前を歩く人がぼけるのも嫌なので、人にピンを合わせてしまいました。結果、無限遠までピントがあわずに遠くがボケてしまった訳です。これではパンフォーカスとはいえないですようねぇ。では、どこにピントをあわせるのが正解なのでしょうか?

知人の話に出てきた2つのこと、「風景撮影」と「記念撮影」。
そして上の写真のような場合。
両方とも1つのことだけちゃんと理解していれば悩まずに撮影できます。

それは「hyperfocal distance」です。


説明が難しいんだけど、無限遠にピントを合わせた時、どんなに絞りを絞っても手元までピントが合うわけではありません。このとき、無限遠からピントがあっているように見える範囲までの距離を「hyperfocal distance」と言います。
僕が使っているアプリの図解を見てください。



「hyperfocal distance」は焦点距離と絞りと撮影するカメラによって、値が決定します。画像の図では、焦点距離35mm、f値4で設定した時の「hyperfocal distance」を表示しています。この場合の値は10.24mです。つまり、ピントが合っているように見える範囲は、カメラから10.24m〜無限遠までとなります。
これは、無限遠にピントを合わせた場合の値であって、ピントの位置を無限遠から手元の方に移動してくると、ピントが合っている範囲は手前に広くなってきます。で、それが最大となるのが上図のピントの位置と「hyperfocal distance」が重なるときになります。簡単に言ってしまえば、「hyperfocal distance」の値の距離にピントを合わせることで、ピントが合っているように見える範囲が一番広くなり、その手前に映り込むものが無ければパンフォーカスが得られるということです。

これをそれぞれに当てはめてみます。
まず、旅行の記念撮影。
「hyperfocal distance」の半分の距離より被写体を遠ざけて、ピントは「hyperfocal distance」に合わせれば、人も背景もピントが合っているように見える写真になります。

次に風景。
無限遠ではなく、「hyperfocal distance」にピントをあわせる事で、前ボケの範囲が少なくなりパンフォーカスの写真を撮る事ができます。


では、「hyperfocal distance」はどうやって調べるのか。
海外サイトなんかでは、カメラ機種と焦点距離と絞りを入力すると算出してくれるサイトがあったりもしますが、そんなのいちいち面倒くさいので、やっぱりスマホアプリの活用が一番現実的だと思います。
たとえば僕が使っているのはこんな風になってます。





カメラ機種は予め設定しておいて、縦軸に焦点距離、横軸が絞りなので、その交点の値が「hyperfocal distance」というわけです。このようなアプリはたくさんあるので、自分の気に入ったものを一つインストールしておくと便利です。

結論としては、アプリを入れて値を調べてその位置でピントを合わせればいいよ。という事になりました。
でも実際僕は背景ぼかしたい派なんですけどね。





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山梨県を中心に風景写真を撮ったり、動画を撮ったりしています。カメラのこととか、写真のこととか、気になったことを書いていきます。
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